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2005年11月18日

ブログ本ビジネスは既に終わってしまったのか?

 2005年11月11日付けの日経産業新聞の2面に興味深い記事が掲載されていました。その記事では、ライブドアがSNS(フレンドパーク)を事業の新たな核に据えて、出版事業やポータルサイト事業を強化する、といったもの。このニュース自体はどちらかというと衝撃的でもなんでもないのだが、その記事の一部でこのような記述がありました。

 ライブドアパブリッシングの編集担当者は今春から、自社・他社の掲示板やブログに加え、SNSにも書き手や読み手として参加する「パトロール」業務に従事。その結果、最近では「面白い文章を書ける人がSNSに集中している」(岸謙一 ライブドアパブリッシング社長)と判断した。
 他方、ブログを基にした出版物は芳しくない。堂出版子会社は当初、閲覧者の多い有力ブログの書籍化を目的に設立したが、これまでに発行したブログ由来の作品五冊は、いずれも発行部数が数千冊止まりとなっている。
(2005年11月11日 日経産業新聞 第2面)

この記事を読む限り、ブログ発の書籍化の流れは終焉を迎えてしまったように受け取ることもできるのですが、本当にそのブームそしてビジネスは終焉を迎えてしまったのでしょうか?

 答えはNOだと言い切れます。ライブドアパブリッシングアメーバブックスを含めていくつかの出版社が一斉にブログ発の書籍を出版したのだが、その中でもライブドアパブリッシングの発行したブログ発の書籍の完成度は高い部類だと感じました。単に、ブログを書籍化するだけでなく、書籍向きに新たに原稿やコーナーを加えた上で出版しており、リアルタイムで書き進められていたブログとはまた異なるコンテンツとして十分楽しめました。一方、現在ドラマ化された実録鬼嫁日記については、正直書籍化のレベルとしてはクオリティーが低いと感じました。しかし、その実録鬼嫁日記は10万部以上の売り上げを上げ、気付けばTVドラマ化にまで至っています。いったいこの差は何だったのでしょうか?

 この差を考える上で重要なのはそれぞれ書籍化を担った会社の違いだと考えられます。ライブドアパブリッシングは誰もがご存知の堀江貴文氏が社長を務めるライブドアの子会社。一方、アメーバブックスは堀江社長とも親交が深く、女優の奥菜恵さんと結婚(後に離婚)した藤田晋氏が社長を務めるサイバーエージェントの子会社。ネットバブル全盛期に20代で株式上場を果たした両者及び両社ですが、その性格は全く違うものといっても過言ではありません。プロ野球新規参入やニッポン放送株の大量取得等、世間が考えもしなかった動きをとるライブドアに対し、サイバーエージェントは世間を驚かすような動きはせず、どちらかというと地味な印象でしょう。ライブドアがWeb制作会社がベースで、サイバーエージェントはネット広告代理店がベースといった点を見る限り、全く逆の流れの方がイメージしやすいのですが、そこは両社社長の考え方・性格の違いが大きく出ていると考えられます。そして、その考えの違いは両社の社風やスタッフにも少なからず影響が出ていると思います。

 一応、私も同業者の端くれとして両社の社風を感じることやスタッフの方々とお話しすることもあるのですが、何においてもライブドアは大雑把というか適当な印象を感じる一方、サイバーエージェントのスタッフはエネルギッシュでまともな社会人の印象。また、私が接した現場レベルのスタッフを見る限り、ライブドアのスタッフに比べサーバーエージェントのスタッフはかなりまともでした。様々なネットサービスを利用していても、多くの利用者は同じように感じると思う。そして、そのことは多くのプロジェクトにおいても同様だと考えられます。
# 適当ではありますが、それがライブドアの凄いところでもあります
 今回の、ブログからの出版化プロジェクトにおいても、両社が割いているマンパワーや時間の差は圧倒的な開きがあったのだと思います。ライブドアパブリッシングは立て続けに5冊ものブログ発書籍を出版したのに対して、アメーバブックスは実録鬼嫁日記1冊のみ。私が知る限り、ライブドアパブリッシングの5冊は積極的に販促を行っていた印象はありませんが(堀江社長周りでは積極的でしたが)、実録鬼嫁日記についてはネット以外のメディアでも数多く目にした印象があります。それが、費用のかかる広告なのかそれとも担当者がパブリシティで頑張った効果なのかわかりませんが、とにかく本が出来上がって以降の両社の展開は全く異なりました。そして、その結果としてライブドアパブリッシングの「ブログからSNS」へという流れであり、アメーバブックスの実録鬼嫁日記は「ドラマ化」といった流れなのでしょう。

 昨年の12月に実施した編集者向けのセミナーでアメーバブックス編集長の山川健一さんがおっしゃられた言葉だったと思いますが、「ブログは玉石混淆、玉を見つけ出して磨いた上で世に送り出すのは編集者の仕事」これに尽きますよね。結局、世に送り出す部分を考えるとブログ発だからといって、これまでの書籍とは違わなかったということです。もちろん、ネット発独特の口コミによるブームの発生の流れがあることも重要ですが(特にSNSならそのようなブームは広がりやすい)、ヒットを出すためには従来の流れも重要と言い切れるでしょう。そして、ブログ発のコンテンツではヒットしないという考えは明らかに間違っていると思います。私はブログランキングサイトを運営している関係で毎日ブログを50以上チェックし続けていますが、200分の1位の確率で面白いブログにめぐり合います。そして、それらの中から選ばれたブログを書籍化することは十分ありえると感じています。ある意味、ブームは去ったがビジネスの可能性は十分にある、そう言えるのではないでしょうか。

投稿者 d4k : 2005年11月18日 14:41

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